あなたのまわりの理不尽な人

世の中理不尽だと言われることがありますが、おそらくこういう人がいるからだと思う。人の事をとやかく言うくせに自分の事は棚に上げる人。人の不正を正していい気になっているが、自分には甘い人。細かいことを人に言うくせに、自分は大雑把な人。思い当たる筋があるのではないでしょうか?

以前の職場の話だが、理不尽な人が働いていました。大きな体の女性で歳は50歳後半くらい。長年働いているらしく、他のパートさんに指示を出している。テキパキ働いているが、それよりも身体が大きいので目立つ。しかも声も大きい。お客さんには愛想はいいが、奥に入るとムッとした顔になる。そして、料理を作り出す。そこまではいいが、食材が補充されていないだとか、釣銭がないとか騒ぎ出す。そのあげく、人に指示して食材を持ってこさせたり、人の財布に両替をしろと支持するのだ。自分は怒った顔になり何もしないのです。周りにいる他のパートさんは大変迷惑だ。料理ができてお客に持っていくのかと思えば、これも支持してもっていかせる。一仕事終えた彼女は、楽な厨房の奥に行き、料理の仕込みをする。この行動が彼女には当たり前になっている。

前にもこういうことがあった。その大きな身体の女性は、料理で使う食材の発注の仕事を任されていた。これを忘れると大変なことになる。食材が来ないうえに、料理もできない。したがって食事が提供できなくなり、お客様に迷惑をかけるばかりか、お店も営業できず大損失である。その発注をし忘れたのだ。これはさすがにヤバいと思い、私はその女性に聞きました。

「発注しましたか、食材が来てないんですけど」

「えーーー」

確認すると、ノートにも発注された形跡がない。発注していないじゃないっと詰め寄ると、彼女は平然としてこう答えた。

「え、わたしですか?私の後に来たパートさんが気づいたはずなのに、なんで誰も何もしないんですか?おかしいじゃないですか」

その大きな体で他のパートさんに聞いて回っていました。なんで気づかなかったのかということを。責任転嫁も甚だしい。あきれて僕はただ茫然とその姿を見ているだけだった。ある時、僕が発注の人を変えようと提案したが、誰にもやり方を教えようとしない意地の悪さ。発注の仕事は渡さないと、ぬり壁のように大きな体で立ちはだかる。まったく迷惑な人だ。

そして、時間超過はあたりまえといった考えで、勤務の終わりの時間になっても帰らない。こちらが気を使って帰るように勧めるが、「まだ発注してない」「まだ仕込みが終わっていない」といって、粘るのです。13時までのシフトのはずが、気が付けば16時まで働いている。いや、働いたふりをしているのだ。なんとも横暴すぎる。

これでは、時給ドロボウである。

しもか、この女性他人の事はとても気になるらしい。常に他人の出勤日を覚えており、私は週に3日だけど、あのパートさんは4日だといって騒いでいる。そして、その日はそのパートさんをイジメるのだ。この行動は日常茶飯事なので誰もとがめないが、イジメられている人はたまったもんじゃない。というか横暴なその人を誰も止められないのだ。朝来ると、自分のタイムカードを押すのと同時に他人のタイムカードをチェックするのが習慣らしい。

しかし、その大きな体の女性の行動は、結果的に良いことになる場合もある。

ある時、買ったであろう商品の袋が厨房においてあった。従業員が買ったものだろうと思って、誰も気にも留めませんでした。が、その大きな体の女性は違っていました。「これ、誰の?」と勝手に袋の中身を開け、商品を確認しだしました。それに気づいたアルバイトの男の子は急いで「ぼくのです」と言って商品を持ち去り、足早に帰っていきました。後に、大きな女性はレジに行き画面をじっと見て何やら調べていた。どうしたのかと尋ねたところ

「おかしいなぁ、さっきのあの子の買った商品の記録がないのよ」というのです。買った商品はすべてレジに記憶されており、その日の清算前であればいつでも見れることができるシステムだ。一緒になってレジの記録を確認にしたが、形跡がない。何度確認してもなかったものだから、そのアルバイトの男の子に連絡してみたら、商品を勝手に作って持って帰ったことが発覚。つまり、お店の食材を使い、勝手に調理して、ただで持ち帰っていたのだ。問いただすと、結構な頻度でやっていたらしい。

後日、その男の子はアルバイトを辞めることになりました。その大きな体の女性はお手柄となったのだ。彼女は上機嫌です。私が見つけたのと言わんばかりに「困ったもんねー」と繰り返し、他のパートさんに話しまわっていた。その顔は言葉とは裏腹にとてもうれしそうだ。まるで、ドラマの主人公が真犯人を見つけて、捕まえたかのようだ。

「困ったもんねー。こんな子が居たら私たちが迷惑じゃない。ドロボウは犯罪よ」とこぼす彼女に、

(ドロボウはどっちだ。この時給ドロボウ)

皆に代わって言いたい思いをこらえつつ、ふんふんとうなずいた。